老人のたわごと（その４５）

随分この項の寄稿をさぼっておりました。毎年何人かの友人からの年賀状でお叱りを受け続けていましたが、やっと時間が出来たので書くことが出来ました。お許し下さい。

もとモーニング娘の吉澤ひとみがひき逃げ交通事故を起こしたとしてマスコミで散々叩かれています。

　マスコミ報道によれば、相当な飲酒運転だったとか、はねた後次の交差点の信号で一旦止まったのにそのまま逃げたとか報じられています。これらは全て絶対に許される事ではありませんが、その中でも飲酒運転事故はもっと厳しく、死刑にも相当する犯罪だと思っております。

　ネット上では「逃げた上にウソまでつくとは最悪」「酒気帯びどころか酒酔い運転間違いなし」などと、吉澤容疑者を非難する声が後を絶たない書き込みが続いています。また、「弟を交通事故で亡くしていながら飲酒ひき逃げって、どういう神経しているんだ」などと、吉澤の非常識さに怒りの声も飛び交っています。

　

　後日、この時の別の車からこの事故の状況をリアルタイムで撮ったドライブレコーダーの映像が世の中に流れました。テレビでも繰り返し流れましたので見た方も多かったと思います。

　ところが、この映像からはおかしな点が窺えました。事故車（吉澤ひとみの車）が通行人をはねた瞬間のものです。映像は先ず車の進行方向の信号が赤になってすぐ右折の矢印が出たところから始まっています。右折の青い矢印が出たところで歩道の数人が歩きだしました。

　先ず自転車に乗った女性です。この人が事故の被害者です。その左に歩いていた男性も事故に巻き込まれました。更にその右斜め後ろの女子中学生が続いています。

　そこに加害者（吉澤ひとみ）の車が飛び込んできて接触事故が起きます。接触された先の自転車に乗った女性が飛ばされ、更に左側の歩いていた男性も巻き添えを受けてこの二人が車道脇に倒れこみます。

　これを見て女子中学生は慌てて車道から戻って歩道の信号が青になるまで待つのです。

　つまり、画面には写っていませんが最初の右折信号の矢印が出た時点では、歩道の信号はまだ赤のままの筈です。最初の自転車の女性やそれに続いた男性は歩道の赤信号を無視して車道に入ってきたのです。このことが報道では一切触れられていません。

　画像を見ると右折信号の青の矢印が出て、これが黄色に変わります。そして赤になります。画像には出ていませんが、ここで初めて歩道の信号が青に変わった筈です。

　つまり、自転車に乗ったまま横断歩道を渡ろうとしていた女性、それと並行して歩いていた男性は明らかに横断歩道の信号無視です。更に被害女性は横断歩道を渡る時に自転車を降りて歩かなければならない交通規則を無視して自転車に乗ったまま進んでいます。これは明らかに交通違反です。

　画像で信号機を見ていると、右折矢印の時に接触事故が発生し、その直後に黄色に変わって更に赤になっています。ここで初めてさっきの後ずさりした女子中学生は渡り始めています。

　ブログにはこの女子中学生が道路わきに倒れこんだ二人の被害者のところに行かなかったことをナジッたりした記事も載っていました。しかし、それ程の事故とは見えなかったのかも知れません。周囲の騒ぎ方も画像からはそう見えます。女子中学生を咎めるのは酷でしょう。

　マスコミの報道で吉澤加害者を散々こき下ろして報じているのは解ります。しかし、この歩行者の信号無視、自転車の交通違反に触れていないのは片手落ちと思えて仕方ありません。

　明らかに吉澤ひとみの行為やその後の言動は許されるものではありません。しかし、マスコミはそれを煽って一方的な野次馬的な偏見に満ちた伝え方をしていると言わざるを得ません。

　ネットにはたくさんのブログも載っていますが、その全てが明らかに誤った報道の影響を受けています。

　皆さん、酒気帯び運転、飲酒運転は絶対ダメです。更に事故のあとのひき逃げも言語道断です。絶対しないで下さい。しかし一方、横断歩道でも信号無視はやめましょう。自転車は降りて横断歩道を渡りましょう。自動車の運転で黄色になったあとに、急いで通過しようとするのもやめましょう。慌てず、急がず、ゆっくりと！

(2018.09.24　梶原 孝生 記)